[stacked books] 最近積んだ本(2020/12/20)

夕方になって日も落ち、不安になりながら兄妹がなんとかたどり着いたのは小さな山小屋でした。しかし、なにか様子が違います。二人が近づいてみると、その理由はすぐに分かりました。
「おにいちゃん、この家、本で出来てる!」
「本当だ!これは…、ぜんぶ文庫本だね。それも全部ハヤカワSFだ。」

– 『新説 ヘンゼルとグレーテル』by.newnakanostories

『人間失格』 太宰 治

若き日に読書家の通過儀礼として読んだはずなのに、なかなかその内容を思い出せない。超有名作『人間失格』も私にとってそんな作品です。最近、芸人で作家のピース又吉さんのエッセイを読んでいて、あ、もう一回読んでおかないといかんな、と思って入荷しました。

感受性豊かな時期、太宰作品や芥川作品などは「読むと必要以上に気分が落ちてしまうのではないか」、と心配になってなかなか読み返してみようという勢いがつかなかったのですが、しっかり中年を迎えた今なら違った向かい合い方ができるような気がしています。

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東北の名家に生まれた容姿端麗・成績優秀な青年が自らの“生涯”を語る。「恥の多い生涯を送ってきました」——こぶしを固く握った子供、美貌の学生、表情のない白髪の混じりの男の三葉の奇怪な写真と共に渡された手記には、その陰惨な半生が克明に描かれていた。他人の考えていることの見当がつかない気まずさをうめるため、無邪気さを装って周囲をあざむいた少年時代。高等学校進学のため上京したものの左翼思想に浸り、次々と女性に関わりを持つ姿。やがては酒と薬物に溺れていき……。「人間失格」はまさに自分を欺き続けた太宰治の自伝であり遺書であった。作品完成の一か月後、彼は自らの命を断つ。時代をこえて読みつがれる永遠の青春文学。

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